認知症とは、もともと正常だった知能が、病気や障害によって持続的に低下した状態をさします。以前は「痴呆」と呼んでいましたが、平成16年に厚生労働省によって「認知症」と改められました。
認知症はさまざまな原因でおこり、その代表的なものが、アルツハイマー型認知症です。脳が縮んでいくアルツハイマー型に対して、脳の血管が詰まり、小さな脳梗塞がたくさんできるものを血管性認知症といいます。
その他、ビンスワンガー病、レビー小体病、ピック病、ハンチントン舞踏病などさまざまな病気が認知症をひきおこす場合があります。
認知症の疑いがあれば、何より先に病院へ行くことが大切です。
そのためには、認知症について理解しておかなければなりません。
認知症となったら、どんな症状が現れるのか、その心理の変化はどんなものか、家族が認知症になったときどう対応したらよいか、相談窓口の情報など、いざというときのために、知っておきたい情報です。
認知症への取り組み (厚生労働省)
認知症を知る (公益社団法人 認知症の人と家族の会)
軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)とは、認知機能の低下がみられる場合の最も軽い段階であり、健常者と認知症の人の中間の段階にあたる状態です。
軽度認知障害(MCI)の段階では、まだ日常生活に支障をきたさずに自立した生活を送ることができます。
認知症が460万人に対し、軽度認知障害は400万人いるといわれています。
最近の研究により、軽度認知障害のすべてが認知症になるのではなく、早期発見によって対策を打つことで、回復して正常の老化に戻したり、状態を維持して進行を止めたりできる可能性があることがわかってきました。
介護が必要な認知症に陥らないために、早期発見がカギであり、おかしいと思ったら、まずは早めに物忘れ外来などを受診し、軽度認知障害に陥っている病的原因があるならそれを治療することが先決です。
そして、同時に、脳を鍛えることで進行を止めたり、回復に向かわせたりするために、老化した脳の働きを活性化させる習慣を身につけるという日常生活での本人の努力も大切です。
認知症の患者さんは、いつもケアしてくれている人であっても憶えておくことができず、毎日見知らぬ人で取り囲まれているように感じて、強い不安感を持っていることが多いです。
そのためもあって、ケアしてくれようとすると警戒感のため攻撃的になったり、自分の殻に閉じこもって言うことを聞かなかったりして、お世話をする人たちを困らせます。
そんな特性を正しく理解していない介護者の中には、こんなにしてあげているのにこの仕打ちは悲しい、ひどい、と落ち込んだり、怒りに変わってしまうこともあります。
それでもケアを進めるため、患者さんを拘束したり、多くの人の力で強行したりということがしかたのない状態も生じています。
しかしそれではますます患者さんは心を閉ざし、介護者は毎度大変な労力が必要になってしまいます。
そこで今注目されているのが、フランス生まれの「ユマニチュード」という考え方です。ユマニチュードとは人間であることを尊重するという意味の造語です。
この方法を使うと、患者さんは自分が人間扱いされていることを理解し、ケアに協力的になり、症状も緩和する傾向さえあるといいます。
その方法の基本は、1.見る 2.話しかける 3.触れる 4.立たせる です。
患者さんを遠くのほうからオーバーアクションと表情で徐々に近づいて認識させ、近くまで来たら、目線の高さを合わせて明るく笑顔で話しかけます。
相手に顔がわからないといけないので、マスクは禁物です。そして、目を見ながら話しかけ、ボティタッチをします。手をにぎったり、肩や腰にそっと触れたりです。
そして、車椅子であっても、複数の人で両脇をしっかりとガードをして、立たせて歩かせるのです。もちろんそれぞれの状況で、無理は禁物です。
この方法は即効性があり、今まで手を煩わせていた患者さんがご自分の意思で歩こうとしたり、ケアに協力したりするようになります。患者さんと介護者の両者にとっていい結果をもたらす可能性があります。
ある著名な脳科学者によると、創造性を生み出すには、経験×意欲 という関係があり、頭の柔らかい若者よりむしろ知識と経験を積み重ねた年配者の方が、高い創造性を持っているそうです。しかし年をとると意欲がなくなっていくことが多いので、その点を心の持ちようで高めさえすれば、若者に気後れすることなく、いつまでも社会の第一線で活躍することも可能です。また創造性は記憶の豊かな組み合わせの多様性によってうまれるものなので、記憶を引き出す力も維持ておかなければなりません。脳を活性化させるによって、これまで蓄積した経験や知識をたくさん引き出せるようにすることが大切です。
世界中でアルツハイマーに関する研究が進められています。
その発症のメカニズムは、脳内にできる老廃物、アミロイドβが脳神経のシナプスを傷つけ、それによってタウという脳細胞にしみのようなものができ、脳細胞を死滅させるというものです。
アルツハイマーの原因であるアミロイドβを増やさないようにしたり、減らしたりする薬や治療法の研究が続けられています。
一方で、脳を鍛えて、脳の力を強くすることで、病気に立ち向かうことができ、発症を防ぐという方法も同時に実践されています。これこそが脳のトレーニングであり、アルツハイマーに立ち向かうための方法としてその有効性が認められています。
2014年1月19日
NHKスペシャル「アルツハイマー病をくい止めろ!」
2013年10月4日
アルツハイマー病発症メカニズムに細胞の自食が関与
−細胞の自食に新たな機能を発見−
独立行政法人理化学研究所
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